メダカは、日本の水田や小川、用水路などで古くから人々の暮らしと関わってきた小型の淡水魚です。 身近な野生魚としてだけでなく、江戸時代には観賞魚として飼育されていた記録も残っています。
その後、金魚や熱帯魚が広く飼育されるようになり、観賞魚としてのメダカが目立たない時期もありました。 しかし、21世紀に入ると楊貴妃メダカやミユキメダカなどの改良メダカが広まり、再び多くの人に飼育されるようになりました。
このページでは、メダカの名前の由来、江戸時代の飼育文化、金魚や熱帯魚の普及、現代の改良メダカまで、メダカの歴史を分かりやすく紹介します。
メダカの名前の由来
メダカという名前は、目が頭の高い位置にあることから「目高」と呼ばれるようになったといわれています。 水面近くを泳ぎ、上から見たときに目が目立つメダカの特徴を表した名前です。
メダカは日本各地で身近な魚として親しまれてきたため、地域によってさまざまな地方名があります。 地方名が多いことからも、メダカが人々の暮らしに深く関わってきた魚であることが分かります。
江戸時代のメダカ飼育
江戸時代には、メダカを鉢や水盤などに入れて観賞する文化があったとされています。 水草を植えた容器で、小さな魚が泳ぐ姿を上から眺める楽しみ方は、現在の睡蓮鉢や屋外容器での飼育にも通じます。
当時は現在のように多くの改良品種があったわけではありませんが、野生のメダカとは異なる体色を持つヒメダカも知られていました。 身近な容器で飼育できることから、庶民にも親しまれた観賞魚のひとつだったと考えられます。
金魚の普及とメダカ
江戸時代から明治時代にかけて、金魚の生産や流通が広がり、一般家庭でも金魚が飼育されるようになりました。 赤や白などの華やかな体色を持ち、品種の違いも分かりやすい金魚は、観賞魚として高い人気を集めました。
金魚の普及が進むにつれて、野生に近い見た目を持つメダカは、観賞魚として以前ほど目立たなくなった時期があったと考えられます。 ただし、ヒメダカは家庭での飼育や学校教材、生き餌などとして流通し続けました。
熱帯魚の普及とメダカ
20世紀になると、日本でも熱帯魚の輸入や飼育が広がりました。 水槽、ろ過装置、ヒーターなどの飼育器具が普及すると、色鮮やかな熱帯魚を家庭で楽しむ人が増えていきました。
この時代のメダカは、観賞魚として大きく注目される存在ではありませんでしたが、丈夫で繁殖しやすい小型魚として飼育されてきました。 また、生物の成長や繁殖を学ぶ教材として、学校でも広く知られる魚となりました。
改良メダカの登場
メダカは古くから飼育されていましたが、現在の改良メダカ文化が大きく広がったのは21世紀に入ってからです。 楊貴妃メダカ、ミユキメダカ、ダルマメダカ、ヒカリ体型メダカなど、外見の特徴が分かりやすいメダカが次々と知られるようになりました。
その後は、体外光、ラメ、ヒレ長、透明鱗、目の表現など、さまざまな特徴を組み合わせたメダカが作出されています。 屋外の小さな容器でも飼育しやすいことや、上から観賞できることも、改良メダカが広く楽しまれるようになった理由のひとつです。
楊貴妃メダカとミユキメダカ
現代の改良メダカ文化を広げた代表的な品種として、楊貴妃メダカとミユキメダカがあります。
楊貴妃メダカは、オレンジ色の体色が特徴です。 離れて見ても色が分かりやすく、現在でも改良メダカを代表する定番品種として飼育されています。
ミユキメダカは、背中に入る体外光が特徴です。 上見で光が分かりやすく、光の長さや強さによって印象が変わります。 この2品種が広まったことで、メダカは身近な淡水魚から、品種ごとの違いを楽しむ観賞魚としても広く知られるようになりました。
メダカの学術的な記録
日本のメダカは、江戸時代から明治時代にかけて海外の研究者にも知られるようになり、学術的に記載されました。 メダカの仲間はOryzias属に分類され、研究用の小型魚としても広く利用されています。
体が小さく、世代交代が比較的早く、卵や胚の観察がしやすいことから、発生、生殖、遺伝などを調べる研究対象として重要な魚になりました。 現在では、日本の身近な淡水魚であると同時に、世界で利用される研究用生物でもあります。

図の上部中央には、ヒメダカと考えられる魚が描かれています。
尾びれなど現在のメダカとは異なる部分もありますが、ヒメダカを描いた古い図のひとつと考えられます。
「梅園魚譜」毛利梅園画、天保6年(1835年)
現代のメダカ文化
現在では、専門店、ホームセンター、道の駅、インターネット通販など、さまざまな場所でメダカが販売されています。 愛好家による品種改良も盛んになり、体色、体外光、ラメ、ヒレ、体型など、多様な特徴を持つメダカが飼育されています。
一方で、品種名が増えるほど、名前だけでは特徴が分かりにくいメダカも増えてきました。 亀田養魚では、楊貴妃メダカやミユキメダカなど、見たときに特徴が分かりやすく、長く親しまれる定番品種を大切にしています。
メダカの歴史は、身近な野生魚としての歴史、観賞魚としての歴史、研究用生物としての歴史、そして改良メダカとしての歴史が重なって続いています。