[2025年10月30日投稿]
メダカの色素胞と遺伝の基礎知識
メダカには黒色素胞(こくしきそほう)、黄色素胞(おうしきそほう)、白色素胞(はくしきそほう)、虹色素胞(こうしきそほう)という4種類の色素胞が存在し、これらが体色を作り出しています。色素胞の組み合わせや量によって、野生のクロメダカから改良品種のメダカまで、多彩な表現が生まれています。
黒色素胞が主なメダカ…ブラックメダカ
黄色素胞が主なメダカ…楊貴妃メダカ
白色素胞が主なメダカ…ホワイトメダカ
虹色素胞が多いメダカ…ミユキメダカ、ラメメダカ
虹色素胞が少ないメダカ…透明鱗メダカ、スケルトンパンダメダカ
黒色素胞ある、黄色素胞ない、白色素胞ある…青メダカ
黒色素胞ない、黄色素胞ある、白色素胞ある…ヒメダカや楊貴妃メダカ
メダカの体色の優劣は下記の通りになります。左に行くほど優性で右に行くほど劣勢です。
優性 黒色素胞 > 黄色素胞 > 白色素胞 劣性
例えば、黒メダカと白メダカでの交配では、一世代目(F1)は黒色素胞が主な黒メダカが誕生します。また楊貴妃メダカと白メダカでの交配では、一世代目(F1)は黄色素胞が主な楊貴妃メダカが誕生します。
このように一世代目(F1)に一方の形質のみが現れる現象を優性(ゆうせい)の法則や顕性(けんせい)の法則といいます。
掛け合わせ 劣性遺伝 一覧
ヒレ長メダカ × 非ヒレ長メダカ = 劣性遺伝 ※ヒレ長メダカはF1では誕生しません。
スワローメダカ × 非スワローメダカ = 劣性遺伝 ※スワローメダカはF1では誕生しません。
みゆきメダカ(体外光) × 非体外光メダカ = 劣性遺伝 ※体外光メダカはF1では誕生しません。しかし相手側に遺伝(ヒレ光など)が入っていれば誕生する場合もあります。主に青や白の体色にのりやすい。
ラメメダカ × 非ラメメダカ = 劣性遺伝 ※ラメメダカはF1では誕生しません。しかし相手側に遺伝(ヒレ光など)が入っていれば誕生する場合もあります。
ダルマ系メダカ × 非ダルマ系メダカ = 劣性遺伝 ※ダルマ系メダカはF1では誕生しません。しかし普通体型であっても相手側にダルマの遺伝が入っていれば誕生する場合もあります。
掛け合わせ 不完全優性遺伝 一覧
ヒカリメダカ × 非ヒカリメダカ = 不完全優性遺伝 ※ヒカリメダカはF1で少し~多く誕生します。※一部尾鰭がひし形でない個体や背の光がない個体など誕生する場合があります。
透明鱗メダカ × 非透明鱗メダカ = 不完全優性遺伝 ※透明鱗メダカ(両頬透明鱗、方頬透明鱗、上見透明鱗)はF1で少し~多く誕生します。※ミユキメダカ、ラメメダカには遺伝しずらいです。
スケルトンパンダメダカ × 非スケルトンパンダメダカ = 不完全優性遺伝 ※スケルトンパンダメダカはF1で少し~多く誕生します。※ミユキメダカ、ラメメダカには遺伝しずらいです。
リアルロングフィンメダカ × 非リアルロングフィンメダカ = 不完全優性遺伝 ※リアルロングフィンメダカはF1で少し~多く誕生します。
優性遺伝:異種との交配(F1)でほぼ出現する。
劣性遺伝:異種との交配(F1)でほぼ出現しない。
不完全優性遺伝:異種との交配(F1)で少し~多く出現する。※表現が混じりあう
青みゆきメダカと楊貴妃メダカが交配するとどのようなメダカが生まれる?
青みゆきメダカの遺伝子型を「BBrr」と「Bbrr」、楊貴妃の遺伝子型を「bbRR」と「bbRr」として考えてみます。※大文字が優性、小文字が劣性
BBrr x bbRR = BbRr(黒メダカ)
BBrr x bbRr = BbRr(黒メダカ)、Bbrr(青メダカ)
Bbrr x bbRR = BbRr(黒メダカ)、bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ)
Bbrr x bbRr = BbRr(黒メダカ)、bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ)、bbrr(白メダカ)
遺伝子の情報から黒メダカが多く出現することがわかります。
メンデルの法則のひとつである分離の法則を理解して品種を作ってみよう!
分離の法則とは、掛け合わせ第一代(F1)では現れなかった劣性の形質が第二代(F2)で分離して現れる現象です。
今回はアルビノリアルロングフィンを作りたいと思います。
掛け合わせの親はアルビノメダカとリアルロングフィンメダカとします。
アルビノメダカは劣性遺伝ですので一世代目(F1)には出現しません。劣性遺伝は潜性(せんせい)遺伝と近年変更されています。それは劣る(おとる)というより潜む(ひそむ)の方が正しいからです。
潜んでいたアルビノメダカの遺伝子は「分離の法則の図」のように二世代目(F2)で出現します。
aa=アルビノメダカ x AA=リアルロングフィンメダカ = Aa(第一世代目)
Aa x Aa = AA, Aa, aA, aa (第二世代目)
A a
A AA Aa
a aA aa
※分離の法則の図、二世代目でアルビノ(aa)が25%の確率で誕生する
アルビノリアルロングフィンメダカは第二世代目で誕生します。※親メダカ(第一世代目)をリアルロングフィンに選別した場合
最後に…メダカの品種改良の歴史
メダカの品種改良の歴史は、江戸時代から続く長い伝統があります。
ヒメダカは江戸時代以前から飼育されていたといわれており、メダカにおける最古の改良品種といえるでしょう。観賞魚として扱われ始めたのは18世紀頃と考えられており、同時期の文献にその名が登場しています。当時の日本ではより見応えのある金魚の方が受けがよく、素朴なメダカは観賞魚としてはあまり目立たない存在だったようです。
現代のメダカブームの決定的な転機となったのは、2004年に改良メダカ専門店「めだかの館さん」にて作出された楊貴妃メダカの登場でした。幹之メダカは現在でも改良メダカ人気品種の筆頭とも言え、メダカブームの火付け役となったもう一つの品種として知られています。これらの革新的な品種の登場により、2000年頃、改良メダカの品種は約20種類でしたが、2023年には930種類以上に増えました。
メダカの品種改良は、江戸時代の素朴な緋メダカから始まり、現代では数百種類を超える多様な美しさを誇る観賞魚へと発展を遂げました。
※この記事内に記載している遺伝ついて誤りがある場合がございます。予めご了承ください。
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