[2026年6月2日更新]
公開日:2017年9月21日
屋外でメダカを飼育していると、台風や大雨などの天候によって、水槽環境が大きく変化することがあります。
特に屋外飼育では、強風による異物の混入、大雨による水質変化、低気圧による環境の不安定化など、普段とは違う注意が必要になります。
そこで今回は、屋外メダカ飼育で起こり得る台風の影響と、台風前後に気を付けたいポイントについてまとめてみました。
台風について
台風は、赤道付近で発生した熱帯低気圧が発達し、最大風速がおよそ17m/s以上になったときに「台風」として発表されます。
台風が日本に接近・上陸する時期は、夏から秋にかけて多くなります。特に9月頃は、太平洋高気圧の張り出しや偏西風の影響によって、台風が日本付近へ進みやすくなることがあります。
夏の間は太平洋高気圧の勢力が強く、日本列島を覆うように張り出すことが多いため、台風が北上しにくい場合があります。
しかし秋が近づくと太平洋高気圧の位置が変わり、台風が日本付近へ進みやすくなります。さらに偏西風の影響を受けることで、進路を東寄りに変えながら日本へ接近することがあります。

台風の目
低気圧と水槽環境の変化
台風が接近すると、低気圧、大雨、日照不足、気温や水温の変化などによって、屋外のメダカ水槽は普段より不安定になりやすくなります。
気圧とは、大気が地表にかける圧力のことです。一般的に、地表にかかる圧力が高い状態を高気圧、低い状態を低気圧といいます。気圧の単位にはヘクトパスカルが使われ、1気圧は約1013ヘクトパスカルです。
低気圧になると、水中に溶け込む酸素にも多少影響があります。ただし、メダカ水槽の溶存酸素量は気圧だけで決まるものではありません。
水温、日照、風、雨、飼育密度、プランクトンやバクテリアの状態、有機物の量など、さまざまな要素が関係しています。
特に台風時は、雨による急な水質変化、日照不足による植物プランクトンの変化、枯葉やゴミの流入、エサの食べ残し、底にたまった汚れなどが重なることで、水槽内のバランスが崩れやすくなります。
その結果、メダカが底の方でじっとしていたり、水面付近で力なく泳いだり、エサ食いが悪くなることがあります。
こうした変化が見られる場合は、水質悪化や酸欠、病気の初期症状の可能性があるため注意が必要です。
また、水槽環境が悪化すると、もともと水中に存在している細菌が増え、メダカの体調不良につながることがあります。
代表的な病気には、運動性エロモナス症やマツカサ病などがあります。
病気の初期症状としては、水槽の下層や端の方でじっとして動かない、元気に泳がない、エサを食べないといった様子が見られることがあります。
症状が進むと、水面付近をふらふらと泳いだり、体表に異常が見られたりすることもあります。
台風の前後は、エサを控えめにし、枯葉やゴミを取り除き、水が急激に汚れないようにすることが大切です。
雨が止んだ後は、メダカの泳ぎ方、水のにおい、濁り、底にたまった汚れなどを確認すると安心です。

運動性エロモナス症のメダカ
血がにじんでいるように見えることがあります。

マツカサ病のメダカ
鱗が逆立ったように見えることがあります。
強風による影響
台風がもたらす影響のひとつが強風です。
メダカの飼育水槽そのものが風で吹き飛ぶことは少ないですが、強風によって枯葉、枝、ゴミ、ビニール片などが飛ばされ、水槽に入ることがあります。
異物が水槽に入ると、水質悪化の原因になることがあります。そのため、台風前には水槽に網や蓋をかけ、できるだけ異物が入らないようにしておくと安心です。
また、メダカのエサ、網、バケツ、発泡スチロール、プラスチック容器、遮光ネットなどの飼育用品も、風で飛ばされないように事前に片付けておきましょう。
軽い資材が飛ぶと、ビニールハウスのビニールを破ったり、飼育容器を傷つけたりする原因になることがあります。
ビニールハウスの台風対策
ビニールハウスでメダカを飼育している場合は、台風接近のニュースが出た時点で、ハウスの状態を確認することが大切です。
マイカ線やハウスバンドの締め具合を確認し、ビニールの破れやたるみがあれば早めに補修します。
ビニールが強風でバタつくと、破れたり、骨組みに大きな負担がかかったりすることがあります。

台風や強風に備えて、ビニールハウスにハウスバンドを掛けて固定している様子です。
写真のように、ハウスバンドをしっかり掛けておくことで、ビニールのバタつきを抑え、強風による破れや骨組みへの負担を減らしやすくなります。
南寄りの強風には特に注意する
当養魚場で特に怖いと感じるのは、台風接近時の南寄りの強風です。
台風は反時計回り、つまり左回りの渦を巻いているため、日本付近を北上する台風では、進路や位置によって南寄りの風が強く吹くことがあります。
特に台風の進行方向の右側に入る場合は、台風自身の風と移動による風が重なり、風が強まりやすいとされています。
ただし、必ず南風だけが強くなるわけではありません。台風の進路、地域が台風のどちら側に入るか、地形、移動速度によって風向きや強さは変わります。
それでも実際にビニールハウスや屋外水槽を管理していると、南寄りの強風が吹く台風は特に注意が必要だと感じます。湿った強風がビニールを大きくあおり、ハウスバンドやマイカ線に強い負担がかかるためです。
台風の進路予報を見るときは、雨量だけでなく、風向きと最大瞬間風速も確認しておくと安心です。特に南寄りの強風が予想される場合は、ビニールのたるみ、ハウスバンドの緩み、飛ばされそうな資材を早めに確認しておきます。
当養魚場では、台風や強風が予想される場合、風向きやハウスの状態を確認しながら、ビニールハウスの側面を少し開けることがあります。
風の逃げ道を作ることで、ハウス内に圧がかかりすぎるのを防ぎ、骨組みが変形する可能性を低くするためです。
ただし、ビニールハウスの開け方は、ハウスの構造や風向きによって変わります。
風上側を大きく開けると、強風がハウス内に直接入り込み、ビニールを内側から押し上げたり、骨組みに負担がかかる場合があります。
そのため、強風時に換気を確保したい場合でも、風上側はできるだけ閉め、風下側を少し開けて空気の逃げ道を作る程度にしています。
当養魚場でも、風向き、台風の強さ、ハウスの状態を見ながら、締め切る部分と少し開ける部分を調整しています。
ハウス内にある飛ばされそうなものは片付け、ハウスバンドやロープをしっかり締めて強風に備えます。
簡易的なビニールハウスの場合は少し手間になりますが、台風の強さや設置状況によっては、ビニールを外したり、解体しておくことも安全対策のひとつです。
特に屋根だけのビニールハウスや簡易ハウスでは、ビニールが風を受けて大きくあおられることがあります。
守るべきものがビニールなのか、骨組みなのかを考え、状況によってはビニールを外して風の抵抗を減らす判断も必要になります。
集中豪雨による影響
限られた地域に大量の雨が降り続く現象を集中豪雨といいます。
集中豪雨は台風だけでなく、発達した積乱雲によっても発生します。
ビニールハウス内でメダカを飼育している場合は、雨が直接水槽に入ることは少ないですが、ハウスの外側から雨水が流れ込むことがあります。
そのため、ハウスの外側には溝を掘るなどして、雨水がハウス内に流れ込まないように対策しておくと安心です。
屋外でメダカを飼育している場合は、水槽に水抜き穴を開けたり、簡易的なプラスチックの蓋を乗せたりして対策を行います。
天候が急変してから水抜き穴を開けるのでは遅い場合もあるため、水槽を設置した段階で、あらかじめ水抜き穴を作っておくと安心です。
ガラス水槽や甕など、穴を開けることができない容器の場合は、ホームセンターなどで販売されているプラスチック板やアクリル板をカットして、蓋として利用する方法もあります。
ただし、蓋を長時間したままにすると、水中の酸素量が少なくなったり、蒸れたりする可能性があります。
雨が止んだ後は、できるだけ早めに蓋を外し、水槽内の状態を確認しましょう。
また、稚魚メダカを飼育している水槽では、水抜き穴から稚魚が流されてしまうことがあります。
さらに、大量の雨水が一気に入ると、水温や水質が急激に変化し、稚魚に負担がかかることがあります。
そのため、稚魚水槽では雨水が直接入らないように、蓋や屋根で守る方が安心です。
台風前に確認しておきたいこと
台風が近づいてから慌てて対策をすると、風雨が強くなって作業が危険になることがあります。
台風の進路が分かった時点で、早めに準備しておくことが大切です。
- 水槽に蓋や網をして、枯葉やゴミが入らないようにする
- 水抜き穴が詰まっていないか確認する
- 稚魚水槽には雨水が直接入らないようにする
- エサや網、バケツ、発泡スチロールなど軽い物を片付ける
- ビニールハウスのマイカ線やハウスバンドを確認する
- ビニールの破れやたるみを補修する
- ハウス周辺の排水路や溝を確認する
- 台風前後はエサを控えめにする
台風後に確認したいこと
台風が過ぎた後も、すぐに安心できるわけではありません。
雨水の流入、ゴミの混入、水温変化、水質悪化などによって、メダカが体調を崩すことがあります。
- メダカが底でじっとしていないか確認する
- 水面付近で苦しそうに泳いでいないか確認する
- 水が濁っていないか確認する
- 水に嫌なにおいがないか確認する
- 枯葉やゴミが入っていれば取り除く
- 蓋をしていた場合は、雨が止んだ後に外す
- エサはメダカの様子を見ながら少なめに与える
台風後にメダカの動きが悪い場合は、すぐに大量のエサを与えず、まずは水槽内の状態を確認します。
水が明らかに悪くなっている場合は、急激な全換水ではなく、様子を見ながら少しずつ水を入れ替える方が安全な場合があります。
まとめ
屋外でメダカを飼育している場合、台風や大雨は水槽環境に大きな影響を与えることがあります。
強風による異物の混入、大雨による水質変化、低気圧や日照不足による環境の不安定化など、注意する点はいくつもあります。
特に大切なのは、台風が来てから慌てて対策するのではなく、事前に準備しておくことです。
水槽の蓋、水抜き穴、ビニールハウスの固定、飛ばされそうな物の片付けなどを早めに行うことで、被害を減らすことができます。
メダカは屋外飼育に向いている魚ですが、急激な環境変化には注意が必要です。
台風前後はメダカの泳ぎ方や水の状態をよく観察し、無理にエサを与えすぎず、水槽環境を安定させることを優先しましょう。
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