メダカに関する記事
[2026年10月3日投稿]

青白い体色の青ミユキメダカと、オレンジ色の楊貴妃メダカ。

この2種類を掛け合わせると、どのようなメダカが生まれると思いますか。

青とオレンジの中間のような体色になると思う方もいるかもしれません。

しかし実際には、青ミユキメダカと楊貴妃メダカを掛け合わせると、F1では黒メダカが多く生まれます。

親には黒メダカを使っていないのに、なぜ黒いメダカが生まれるのでしょうか。

この理由を理解するうえで重要なのが、メダカの色素胞の優劣です。

亀田養魚で飼育しているメダカ

以前の記事では、メダカの優性遺伝・劣性遺伝について紹介しました。

メダカの優性遺伝・劣性遺伝についてはこちら

今回は、その中でも「青ミユキメダカと楊貴妃メダカが交配すると、どのようなメダカが生まれるのか」という部分に焦点を当てて、もう少し詳しく見ていきます。

メダカの体色には色素胞の優劣がある

メダカの体色を考えるとき、基本となるのが色素胞です。

今回の掛け合わせで特に重要なのが、次の優劣関係です。

優性 黒色素胞 > 黄色素胞 > 白色素胞 劣性

黒色素胞が最も優性に現れやすく、次に黄色素胞、そして白色素胞という順になります。

そのため、異なる体色のメダカを掛け合わせたからといって、親の色を混ぜたような中間色になるとは限りません。

F1では、より優性な色素胞の特徴が表に現れやすくなります。

黒と白を掛ければ黒が出やすい

分かりやすい例として、黒系のメダカと白系のメダカを掛け合わせた場合を考えてみます。

黒色素胞 > 白色素胞

という優劣があるため、F1では黒系のメダカが多く現れます。

黄色系と白系を掛け合わせた場合も、

黄色素胞 > 白色素胞

となるため、F1では黄色系の体色が表に現れやすくなります。

青ミユキメダカと楊貴妃メダカの掛け合わせでも、この色素胞の優劣が大きく関係しています。

青ミユキと楊貴妃の遺伝子型を考えてみる

ここからは、遺伝子型を使って考えてみます。

青ミユキメダカの遺伝子型を、

BBrr または Bbrr

楊貴妃メダカの遺伝子型を、

bbRR または bbRr

として考えます。

※大文字を優性、小文字を劣性として表しています。

見た目が同じ青ミユキメダカでも「BBrr」と「Bbrr」があり、見た目が同じ楊貴妃メダカでも「bbRR」と「bbRr」があります。

そのため、同じ「青ミユキ×楊貴妃」という掛け合わせでも、親が持っている遺伝子型によってF1の体色は変わります。

BBrr × bbRRの場合

BBrr × bbRR

この組み合わせでは、F1は、

BbRr(黒メダカ)

となります。

青ミユキと楊貴妃という、どちらも黒メダカには見えない親を掛け合わせても、F1では黒メダカになります。

BBrr × bbRrの場合

BBrr × bbRr

この組み合わせでは、

BbRr(黒メダカ) Bbrr(青メダカ)

が生まれます。

黒メダカと青メダカに分かれます。

Bbrr × bbRRの場合

Bbrr × bbRR

この組み合わせでは、

BbRr(黒メダカ) bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ)

が生まれます。

黒メダカと黄色系のメダカに分かれます。

Bbrr × bbRrの場合

Bbrr × bbRr

この組み合わせでは、

BbRr(黒メダカ) Bbrr(青メダカ) bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ) bbrr(白メダカ)

が生まれる可能性があります。

黒、青、黄色系、白と、さまざまな体色に分かれます。

4通りを並べると黒メダカが出やすいことが分かる

まとめると、次のようになります。

BBrr × bbRR → BbRr(黒メダカ)

BBrr × bbRr → BbRr(黒メダカ)、Bbrr(青メダカ)

Bbrr × bbRR → BbRr(黒メダカ)、bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ)

Bbrr × bbRr → BbRr(黒メダカ)、Bbrr(青メダカ)、bbRr(ヒメダカ~楊貴妃メダカ)、bbrr(白メダカ)

こうして並べてみると、どの組み合わせにも黒メダカが含まれていることが分かります。

青ミユキメダカと楊貴妃メダカを掛け合わせると黒メダカが多く生まれるのは、偶然ではありません。

親が持っている遺伝子の組み合わせと、色素胞の優劣によって説明することができます。

黒メダカが生まれると「先祖返り」と言われることがある

異なる品種を掛け合わせて黒メダカが生まれると、

「原種の黒メダカに先祖返りしたのでは?」

と言われることがあります。

見た目だけを見れば、そのように感じるのも分かります。

しかし、今回の青ミユキメダカと楊貴妃メダカの掛け合わせについては、先祖返りと考えなくても遺伝子の情報から黒メダカが生まれる理由を説明できます。

たとえば、

BBrr × bbRR → BbRr(黒メダカ)

です。

突然、遠い先祖の黒メダカへ戻ったわけではありません。

現在の親が持っている遺伝子を組み合わせた結果、優性である黒色素胞が表に現れ、黒い体色になっています。

遺伝子の情報が分かれば、一見「先祖返り」に見える現象でも、通常の遺伝として説明できることがあります。

今回一番覚えてほしいのは色素胞の優劣

今回の記事では遺伝子型も紹介しましたが、一番覚えていただきたいのは細かな記号ではありません。

優性 黒色素胞 > 黄色素胞 > 白色素胞 劣性

という色素胞の優劣です。

オレンジ色の楊貴妃と青白いミユキを掛け合わせても、その中間色になるとは限りません。

より優性な黒色素胞が表に現れれば、F1では黒メダカになります。

これが、青ミユキメダカと楊貴妃メダカを掛け合わせたときに黒メダカが多く生まれる大きな理由です。

同じ見た目でも持っている遺伝子は同じとは限らない

もう一つ重要なのは、同じ見た目のメダカでも、持っている遺伝子型が同じとは限らないということです。

青ミユキメダカでも「BBrr」と「Bbrr」があり、楊貴妃メダカでも「bbRR」と「bbRr」があります。

そのため、同じ青ミユキと楊貴妃を掛け合わせても、毎回まったく同じ体色の割合になるとは限りません。

実際に子を採ってみることで、親がどのような遺伝情報を持っているのかが見えてくることもあります。

親の見た目だけでは分からないものが、子の体色を見ることで分かってくる。

これもメダカの掛け合わせの面白いところです。

親にいない色が生まれても不思議ではない

青ミユキと楊貴妃を掛け合わせたのに、黒メダカが生まれた。

初めて見ると不思議に感じるかもしれません。

しかし、色素胞の優劣と遺伝子型を知ると、なぜ黒が生まれるのかが見えてきます。

メダカの体色は、親の見た目を混ぜ合わせて決まるわけではありません。

親が持っている遺伝情報と、その中でどの特徴が優性に表れるのかによって、子の体色が決まっていきます。

掛け合わせをするときに色素胞の優劣を知っておくと、親には見られなかった体色のメダカが生まれたときにも、その理由を考えやすくなります。

メダカの優性遺伝・劣性遺伝についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

メダカの優性遺伝・劣性遺伝について

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