カテゴリ:遺伝・品種改良
近交弱勢とは、近親交配が続くことで、繁殖力、成長、生存率など集団の適応度に関わる性質が低下する現象です。英語ではinbreeding depressionと呼ばれます。
なぜ起こる?
集団内には外見では分からない有害な潜性対立遺伝子が存在することがあります。近親交配でホモ接合性が高まると、それらが両方そろって表現される確率が上がります。
現れ方はさまざま
受精率の低下、孵化率の低下、成長不良、繁殖数の減少などが近交弱勢として現れる可能性があります。ただし、これらの症状は水質や餌など環境原因でも起こります。
近親交配=必ず近交弱勢ではない
メダカでは100世代を超える兄妹交配で維持された実験近交系も存在します。遺伝的負荷が淘汰された系統では長期の近交が可能な場合があり、数世代の近親交配だけで必ず弱るとは言えません。
観賞系統では記録で判断する
孵化率、生存率、成長、産卵数などを世代ごとに記録し、継続的な悪化があるかを確認します。一時的な不調だけで近交弱勢と断定しません。
異系交配で回復する場合がある
遺伝的に離れた系統を交配するとヘテロ接合性が増え、低下していた形質が改善する場合があります。これは雑種強勢と関連しますが、元の品種表現が崩れる可能性もあります。
環境不良と切り分ける
一世代だけ孵化率が悪い場合は、水温や水質、親魚の年齢なども疑う必要があります。同じ飼育条件で複数世代にわたり繁殖成績が低下するかを確認すると判断しやすくなります。